ビタミンC(アスコルビン酸)は生体内で多様な働きをしており不可欠なものですが、その中でも活性酸素種を除去する「抗酸化作用」」は特に重要であり、アンチエイジング治療にも用いられています。
一方で、ビタミンCを通常とは桁が違うくらいの高濃度で血中に投与すると、がん細胞を殺傷する作用が発揮されることが示されており、米国カンザス州のリオルダンクリニック(Riordan Clinic)を中心に、世界で多数の臨床試験が行われてきました[参考文献1~4]。
仕組み
ビタミンCががん細胞を殺傷する機序ですが、まずアスコルビン酸分子が酸化を受けて1電子を失って「モノデヒドロアスコルビン酸ラジカル」というものになり、この時に酸素分
子が1電子還元を受けて「スーパーオキシドアニオンラジカル」と呼ばれる活性酸素種が発生します[図1]。

これは生体内のSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)と呼ばれる酵素に
よって、「過酸化水素」と呼ばれる活性酸素種と酸素に変えられます[図2]。

この過酸化水素は細胞を傷害する力を持っているのですが、正常の細胞はカタラーゼという酵素を備えており、カタラーゼが働くことによって過酸化水素を無害な水と酸素に変える能力があります[図3]。

しかし多くのがん細胞ではカタラーゼが欠乏しているために、過酸化水素によってがん細胞のみが選択的に殺傷されます。
当院ではがんの統合医療の治療の一つとして、「リオルダンプロトコル(改訂)」に沿った高濃度ビタミンC点滴療法をご提供しております。2024年以降は、近年になってやっと実現した日本国産の安定化剤不含の高品質のビタミンC製剤を、自信を持って使用させて頂いております。
ところで、高濃度ビタミンC点滴をお受けになる場合、赤血球の「G6PD(グルコース-6-リ
ン酸脱水素酵素)」という酵素が遺伝的に欠損していると、赤血球が壊れてしまう「溶血」
が起こってしてしまいます。G6PD欠損症はアフリカ、地中海沿岸、東南アジアなどでみ
られる先天性疾患ですが、日本人における発症率は約0.1%程度と非常に稀です。高濃度ビタミンC点滴を始めてお受けになる際には、事前に院内で「G6PD検査」をお受け頂きます。結果は採血後、数分で判定されます。
高濃度ビタミンC療法は、患者様のQOLを上げることにも役に立ち、様々な治療と併用してお受け頂いております。
また、この場を借りて、高濃度ビタミンC点滴療法につきましてご指導を賜りました、本
邦の高濃度ビタミンC点滴療法の権威であられる、健康増進クリニック 水上治名誉院長に心より感謝を申し上げます。
<参考文献>
- Cameron E & Pauling L. Supplemental ascorbate in the supportive treatment of cancer:Prolongation of survival times in terminal human cancer. PNAS USA 1976; 73: 3685-3689.
- Murata A, Morishige F & Yamaguchi H. Prolongation of survival times of terminal cancer
patients by administration of large doses of ascorbate. Int J Vitam Nutr Res Suppl 1982;23: 103-113. - Riordan H, et al. Intravenous ascorbic acid: protocol for its application and use. PR Health Sci J 2003; 22: 287-290.
- Riordan H, et al. A pilot clinical study of continuous intravenous ascorbate in terminal cancer patients. PR Health Sci J 2005; 24: 269-276.